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地震による地盤の液状化

液状化とは

地震などの振動によって地盤が液体のような状態になることです。

液状化が発生すると

地盤が液体のようになるので、家屋が傾いたり地盤が変状したりする他、地中にある軽い構造物(マンホール等)が浮き上がったりします。

液状化の発生メカニズム

下の図のように、地盤は土の粒が集まって出来ていますが、その粒の間は水で満たされています(図a)。この水を「地下水」と言います。地震が発生すると土の粒が揺らされ、地下水に浮いた状態になり泥水のようになってしまいます(図b)。地盤が泥水のようになると、噴砂が発生し家が傾いたりマンホールが浮き上がったりします(図c)。


東京都都市整備部HPより
液状化が発生しやすい地盤は、軟らかい砂地盤で地下水が地表面に近いところです。

液状化が起こりやすい地盤

液状化の発生しやすい地盤条件

液状化の発生メカニズム(地盤の液状化と被害参照)を考えると、液状化は以下のような地盤で発生します。

地盤
 地盤の粒子が『』に分類されるものが多い地盤。極小さい粘土や粒子の大きい礫が多い箇所は、液状化がしにくい地盤と言えます。

締め固まっていない地盤
 地盤の中でも、緩い(軟らかい)地盤が該当します。砂地盤であっても、固く締まっている地盤は液状化しにくい地盤と言えます。

地下水位が高い
 液状化は、地盤中の砂の粒子が水(地下水)に浮いた状態になることですので、地下水がない地盤では発生しません。地盤条件が同様であれば、地下水位が高ければ高いほど液状化が発生しやすくなります。

液状化しやすい地盤

軟らかい砂地盤で、地下水が地表面に近いところです。したがって、海に近い埋立地や土地の低い低地で発生する可能性が高く、逆に地面が硬く地下水が深い山間部や丘陵地では液状化はあまり発生しません。

液状化の発生しやすい地盤を下に示します。(大)が液状化しやすい地盤で、(小)がしにくいところです。あくまで一般論で、その場所の地下水位や地盤の特性、その時の地震の大きさによって様々ですのでご注意下さい。

なお、過去に液状化が発生した場所も要注意です。今後の地震で再度液状化が発生する可能性があります。


あなたのお宅がどのような地盤にあるか、簡易に調べることが出来ます。以下のホームページを参照下さい。「国土交通省 国土地理院:治水地形分類図

どうやって調べるの?

おおよその判断は、それぞれの自治体がホームページ等で公表している液状化予測図等で確認できますが、より正確な判断は専門家への相談が必要です。専門家に相談し、詳細な調査や対策の有無等について判断することが望まれます。

たとえば、大阪府の液状化予測図は、以下のサイトで公表されています。
http://www.pref.osaka.lg.jp/kikikanri/detailed-figs/

主な対策手法

液状化の対策は、これから建物をつくる時に行う対策、既に建物がある場所に行う対策、液状化被害を受けた後に行う補修工法等あります。

これから建物をつくる場合の事前対策例
直接基礎(べた基礎) 小口径杭工法
べた基礎は、建物の底面全体にコンクリートを打つことで、建物の重さを分散して地面に伝えることができ、不同沈下や耐震性を増すことができます。基礎の下に液状化層がある場合は、その層を砕石等で置き換えることで、液状化の被害を抑制できます。 堅固な地盤まで杭を打ち、その上に建物を置くことで沈下を抑制するものです。杭は鋼管などが用いられ、回転貫入や圧入によって打ち込みます。

その他、地盤にセメントや薬液等を混ぜて液状化させなくする改良工法等、いろいろあります。

既に建物がある地盤の液状化対策例
注入工法
基礎の下でグラウト材(空洞、空隙、隙間などを埋めるために注入する流動性の液体)や薬液(セメントミルク、モルタル、水ガラス系)等をボーリングマシンなどで注入する工法です。注入した箇所は、その注入材料によって液状化の抑制や強度の増加が見込まれます。
液状化の被害を受けた後の補修対策例
ポイントジャッキ工法
傾いた建物の基礎の一部を切り取り、土台の下に油圧ジャッキを挿入した上でジャッキアップし、建物の傾斜や沈下修復を行う工法です。プッシュアップ工法とも呼ばれます